“358?”
“We’ve come too far, Tas,”
“We’ve come into our own future.”
伝説5巻p49
「三五八年?」
「おれたちはちょっといきすぎたんだ、タッスル」
「おれたち自身の未来にきちまったんだ」
Another nearby lightning strike shattered his concentration and even caused Tas to jump in his sleep. Muttering in irritation, the kender covered his eyes with his hands and slept on, looking like a dormouse curled up in its burrow.
またもやすぐ近くを稲妻が直撃し、キャラモンの意識の集中を破った。タッスルも寝ぼけて飛び起きたほどだ。いらだたしそうに何かつぶやくと、ケンダーは両手で目を覆って眠りつづけた。まるで巣穴のなかで丸くなっているヤマネのようだ。
With a sigh, Caramon forced his thoughts away from storms and dormice back to those last few moments when the magical spell had been activated.
キャラモンはため息をついて、思考をむりやり嵐やヤマネから引きもどし、魔法の呪文が作動したあの最後の瞬間のことをふたたび考えた。
***
ヤマネ(dormouse, 複数形dormice)を紹介したかっただけです。ねむりねずみ。本物のヤマネはひとたび冬眠に入ったら、雷くらいでは起きません。
Opening his eyes, he looked around. But would they face this same future when they returned?
キャラモンは目を開き、あたりを見まわした。だがもどっていったとして、やがてはこれと同じ未来に直面することになるのではないか?
“Did Raistlin cause this?” Caramon muttered to himself, just to hear the sound of his voice amid the flashing light and concussive blasts.
「これはレイストリンが引き起こしたことなんだろうか?」キャラモンは自問した。その声はちょうど、閃く稲妻と地面を揺るがす炸裂音のさなかに聞こえた。
“Does this have something to do with him? Did this happen because he failed or--“
「こうなったのはレイストリンに何か関係があるんだろうか? こうなったのはレイストリンが失敗したためなんだろうか、それとも――」
He needed only one thing to confirm the knowledge that he knew, in his heart, needed no confirmation.
かれが必要としているのはただひとつ、――心の奥底では必要となどしていないが――そうした理解について確証を得ることだった。
When it was ended, the silence rang in his ears louder than the blasts of the lightning.
嵐がおさまったとき、かれの耳には沈黙が稲妻の炸裂以上にやかましく鳴りわたった。
He would see the moons, the stars....
The stars....
He had only to raise his head and look up into the sky, the clear sky, and he would know.
月が見え、星々が見える……
星々が……
顔をあげて空を、晴れわたった空を見あげさえすればいい、そうしたらわかる。
There it was--the confirmation of his fears, the sealing of his doom.
A new constellation in the sky.
An hourglass....
そこにあったのは――かれの不安を実証するもの、かれの運命を証明するものだった。
空には、新しい星座ができていた。
砂時計の形の星座が……
***
この、砂時計の形の星座、どんなものだろうと長年思ってました。ちゃんと章扉カットに描かれてるのに気がつかなかったんです。
見えますか?
In his mind, he could see his brother’s eyes as they had been when he emerged--so long ago--from the terrible test in the Tower of High Sorcery--the pupils of the eyes had become the shape of hourglass.
心のなかの目に、レイストリンが――ずっと昔――<上位魔法の塔>のあの恐ろしい<大審問>を終えて――出てきたときの目が見えた――瞳孔が砂時計の形になっていた、あの目が。
“Thus, Raistlin, you will see time as it changes all things.” Par-Salian had told him. “Thus, hopefully, you will gain compassion for those around you.”
「これで、レイストリン、そなたは時があらゆるものを変化させてゆくさまを見ることになる」あのとき、パー=サリアンはレイストリンにこう言った。「そして願わくば、それゆえにそなたが周囲の者たちに憐れみの情を抱かんことを」
But it hadn’t worked.
だが、そうはならなかったのだ。
“Raist asked me that once. ‘Would you follow me into darkness?’ he said.”
「前に一度レイストがこうおれにたずねた。『ぼくについて闇のなかにはいっていくつもりがありますか?』とな」
“He said it would be the death of you, Caramon!”
「それはきみの死となるだろうってレイストリンは言ったんだよ、キャラモン!」
“Something I should have done a long time ago,” Caramon said resolutely.
「ずっと前にするべきだったことをするんだ」きっぱりとキャラモンは言った。
***
「きっぱりと」いつもの”sternly”だろうと思ったら”resolutely”ときました。格式語で「決然として」。この変化、前回でタッスルも見抜いてます。
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