2016年7月24日日曜日

伝説5巻p227〜《旧友》

TEST OF THE TWINS p131
Having mounted the horse of action, so to speak, Gunthar charged ahead. Completely riding over Lord Amothus’s murmured remonstration that perhaps he should discuss this with his generals, Gunthar galloped on,

伝説5巻p227
 まるで行動という軍馬にまたがったごとく、グンター卿は進撃した。将軍たちと相談してみる必要がありそうだなどとアモサスがぼそぼそつぶやく抗議をものともせずに踏みにじり、突進していく。

Tanis, watching all of this, and knowing well what Amothus was thinking, smiled grimly to himself and was just beginning to wonder how he, too, might escape the onslaught  when there was a soft knock upon the great, ornately carved, gilt doors.

 タニスはこうした様子を眺め、アモサスが考えていることが手にとるようにわかったので、心のなかで苦笑いを浮かべていた。そしてかれもまた、グンター卿の襲撃から逃れるすべを考えようとしたそのとき、彫刻の施された大扉に小さなノックの音がした。

***

“charge”, “ride over”, “gallop on”, “onslaught”と、我々のグンター卿の勇姿をお楽しみください。自分で煽っておいて何逃げようとしてるんですかタニスちゃん。


“I would have refused,” Garad said grimly. “But Elistan gave orders that he should be allowed entry. And, I must admit, his potion worked.”

「わたしは拒もうとしたのですが」ガラドはむっつりした顔で言った。「エリスタンが入れるようにと命じたのです。それから、あの者の薬が効いたことは認めなければなりません」

I’d like to see you try to make him leave, Tanis thought privately, but said nothing.

 あなたがダラマールをむりやり退去させようとするところを見たいものだ。そうタニスはひそかに思ったが、何も言わなかった。

Elistan, turning his head feebly upon the pillow, looked over at the half-elf and began to laugh.
“One would think, my friend, that you were coming to rob me,”

 エリスタンが枕の上の頭を弱々しくこちらに向けた。そして、ハーフ・エルフの姿を見て、僧侶は笑い出した。
「他人が見たら、あなたはまるでわたしを盗みにきたのかと思いますよ、わが友よ」

“Would that I were able to fight this enemy for you, Elistan,”

「あなたのためにこの敵と戦うことができたらと思いますよ、エリスタン」

“Not an enemy, Tanis, not an enemy. An old friend is coming for me.”

「敵ではありませんよ、タニス。敵ではないのです。旧友がわたしを迎えにきてくれているのです」

“I would have chosen differently for her, my friend, had I been able. I saw the road she walked. But, who questions the ways of the gods?”

「もしできるなら、わたしはクリサニアのためにもっとほかの選択をとったことでしょう、友よ。彼女が歩む道がわたしには見えていました。だが、神々の流儀に誰が疑問をはさみましょう?」

***

「神のなさることに疑問を抱くな、疑うな」実在の宗教でもよく説かれることですが、これが盲目的でなくて何なのでしょう。疑いのないところに信頼もまた存在しない、いや、疑うことができないものを、どうやって信じることができるのですか?


“Certainly not I. Although”--opening his eyes, he looked up at Tanis, and the half-elf saw a glint of anger in them--“I might argue with them a bit.”

「わたしはそんなことはしません。まあ」――エリスタンは目を開き、タニスを見あげた。ハーフ・エルフには、その目に怒りが宿るのを見た――「神々に少しばかり文句を言うかもしれませんが」

***

「いい人すぎてつまらない」と言われ、作者にも嫌われているというエリスタンの一番好きな、親しみの持てる場面です。さあ、思う存分言ってやってください。今来るところですから。


“I am sorry, sir, but I cannot permit you to go inside,”
“But I tell you I’m here to see Elistan,” returned a querulous, crotchety voice.

「まことに申しわけありませんが、あなたをなかに入れることはできないのです」
「だからエリスタンに会いにきたと言っておるじゃないか」不平がましい偏屈な声がやり返す。

There was the sound of a brief scuffle, then silence, then Tanis heard a truly ominous sound--the sound of pages.

 ちょっとのあいだもみあう音が聞こえ、それから静かになった。次に、タニスはまことに不吉な音を聞いた――ページをめくる音だ。

“He truly is an important person,”
“You can let him in. I’ll take full responsibility.”

「この方は本当に重要な人物なんだ」
「入れてあげてくれ。おれが全責任をもつよ」

Entering the Temple door, the old man turned to look at Tanis from beneath the brim of the battered hat. Pausing, he laid his hand on the half-elf’s arm. The befuddled look left the old wizard’s face.

 神殿の扉のなかにはいると、老人はふりかえり、つぶれた帽子の縁の下からタニスを見つめた。そして少し考えてから、ハーフ・エルフの腕に手をかけた。老魔法使いの顔から見かけの表情が消える。

“You have never faced a darker hour, Half-Elven,”
“There is hope, but love must triumph.”

「あんたは闇の時間に直面したことはないな、ハーフ・エルフよ」
「希望はある。だが、愛は勝たねばならない」

As he left the Temple, Tanis heard a voice wail, “My hat!”

 神殿を出ていくタニスの耳に、叫び声が聞こえた。「わしの帽子が!」

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