“Don’t let him take me back to the Abyss, Crysania! Don’t let him take you! It’s horrible, horrible. We’ll all die, die like poor Gnimsh.”
伝説4巻p263
「レイストリンがぼくを<奈落>に戻そうとするんだ。止めてよ、クリサニア! レイストリンに連れていかれちゃだめだ! 怖いよ、怖いよ。ぼくたちみんな死ぬんだ。かわいそうなニムシュみたいに」
“He is better,” she said. “He will not die. But dark shadows hover around him, preventing Paladine’s healing light from restoring him fully.”
「よくなりましたわ。死ぬことはないでしょう。でもタッスルのまわりに黒い影がまつわりついて、パラダインの癒しの光が完全な回復をもたらすのを妨げています」
“It must been something dreadful to have unnerved a kender like this.”
「<ケンダー>をこれほどおびえさせるなんて、きっとひどく恐ろしいものにちがいありませんわ」
“Perhaps, lady, if you left, he would feel more comfortable talking to me,”
「おそらくあなたが出ていってくだされば、タッスルももっと落ち着いてぼくに話をすることができると思いますよ、レディ」
To her amazement, Tas grabbed her hands.
“Don’t leave me with him, lady!”
と、驚いたことに、タッスルが彼女の手にしがみついた。
「ぼくをレイストリンと二人きりにしないで、クリサニア!」
“No one’s going to hurt you. Whatever killed this--uh--Gnimsh can’t harm you now. You’re with your friends. Isn’t he, Raistlin?”
「誰もあなたに危害を加えたりはしないわ。誰だか知らないけれどその――ニムシュ――を殺した人はもうあなたを襲うことはできないわ。あなたのそばにはお友だちがいるのですもの。ねえ、レイストリン?」
“My magic is powerful,” Raistlin said softly. “Remember that, Tasslehoff. Remember the power of my magic.”
「ぼくの魔法は強力だからね」レイストリンが静かに言う。「覚えているだろう、タッスルホッフ。ぼくの魔法の威力を忘れてはいないだろう」
“Yes, Raistlin,” Tas replied, lying quite still, pinned by the mage’s fixed and staring gaze.
「うん、レイストリン」静かにじっと横たわり、タッスルは言った。魔法使いのがっちりした凝視に釘づけにされている。
“we are alone.”
「これで邪魔者はいなくなった」
Raistlin’s fingers were light as the feet of spiders upon Tas’s face. “Do you recall, at one point, Dalamar tore open hid black robes, exhibiting five wounds upon his chest?”
レイストリンの指が蜘蛛の脚のようにそっとタッスルの顔を這う。「ひとつ、思い出させてやろうか? ダラマールが黒いローブを引き裂いたとき、胸に五つの傷があっただろう?」
“Yes, I see you recall that. It was his punishment, Tas. Punishment for hiding things from me,” Raistlin’s fingers stopped crawling about the kender7s skin and remained in one place, exerting a slight pressure on Tas’s forehead.
「そう、おまえは知っているはずだよ。あれはかれが受けた罰なんだ、タッスル。ぼくに隠しごとをした罰だ」レイストリンの指は<ケンダー>の肌を這うのをやめ、一か所にとどまった。タッスルの額を軽く押しつける。
“An interesting experience, don’t you think?”
「なかなか興味深い体験だとは思わないか?」
“Not--not quite that interesting,”
「それは――あんまり興味深いとはいえないよ」
“What did she say?” Raistlin demanded. “The message was to me! it must have been! That was why she sent you! What did the Queen say?”
「女王はなんと言ったんだ?」レイストリンは問いただした。「それはぼくにあてた伝言だ! 絶対にそうだ! それがおまえをここに遣わした理由なんだ! 女王はなんと言ったのだ?」
Tas’s voice grew hushed. “She said, ‘Come home...’”
タッスルの声は消え入りそうになった。「こう言ったよ。『家に帰れ……』って」
***
病気のタッスルをじわじわと責め苛む、レイストリンの一番悪いシーンです。居直って楽しく書き写している自分はもっとひどいです。ごめんタッスル。
「あなたのそばにはお友だちがいるのですもの」は複数形の”friends”でした。レイストリンだけじゃない、わたしも近くにいますからね、と。タッスルの慰めにはなっていませんが。
あと本当にどうでもいい話ですが、レイストリンはあの<枢密会議>の模様を例の池から覗いていたんでしょうか。ダラマールの自己陶酔まみれの演説も? …想像してちょっと引きましたが、本人は気にもしてないんでしょうね。暑苦しい執着には慣れっこのはずですから。
“They’re going to kill him! And Raistlin done this!” Tas shuddered.
「やつら、キャラモンを殺すつもりなんだ! そしてそれを仕組んだのはレイストリンなんだ!」タッスルはがたがたと震えた。
“Tasslehoff Burrhoot!” he said angrily. “What are you doing--standing around like a gully dwarf with one foot in the mud. You’ve got to save him! You promised Tika you7d take care of him, after all.”
「こら、タッスルホッフ・バーフット!」怒った声で言う。「おまえ、何をしてるんだ――どぶドワーフみたいに泥のなかで、ぼけっと片足で突っ立ってるつもりか! キャラモンを助けなきゃ! ちゃんと面倒を見るってティカに約束したんだろう」
“Save him? How, you doorknob?” boomed a voice inside of him that sounded suspiciously like Flint’s. “There must be twenty dwarves! And you armed with that rabbit-killer!”
「キャラモンを助ける? おまえみたいな大間抜けがどうやって?」心のなかでフリントに似ていなくもない声が響きわたった。「二十人ものドワーフがいるんだぞ! おまえにあるのはその兎用のナイフだけだというのに!」
“I’ll think of something,” Tas retorted. “So just keep sitting under your tree.”
「なんとか考えるよ」タッスルは言い返した。「だからあんたは木の下でじっと座っといでよ!」
***
ザク・ツァロスでこのナイフを見つけたとき、「おっかないうさぎ(ferocious rabbit)が出たときだけそいつで頼むぜ」と言ってタッスルを深くきずつけたのはキャラモンでした。海より深く反省するがいいよ。
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