“I cannot believe a pupil of Raistlin’s could care so much about anyone!”
伝説5巻p267
「レイストリンの弟子がそのように他人のことを気にかけるとは、とても信じられんな!」
“Raistlin’s pupil personally didn’t give a cracked iron piece what became of the cleric. But Raistlin’s pupil is honorable.”
「レイストリンの弟子個人としては、あの僧侶がどうなろうと小銭一つ与えたくもありませんね。ですが、レイストリンの弟子は名誉を重んじるのです」
“He was taught to pay his debts, taught to be beholden to no one. Does that accord with what you know of my Shalafi?”
「借りは返すように、また誰にも借りはつくらぬようにと教わりました。それはあなたがご存じのわが“シャラーフィさま”の姿と一致するでしょう?」
“Elistan came once to the Tower of High Sorcery to help my Shalafi.”
「エリスタンは一度<上位魔法の塔>にきて、わたしのシャラーフィさまを助けてくれたのです」
“Raistlin?” Tanis stopped again, stunned. Dalamar did not halt, however, and Tanis was forced to hurry after him.
「レイストリンを?」タニスはびっくりして足を止めた。だが、ダラマールは立ちどまらなかったので、タニスは急いであとを追わなければならなかった。
“Yes,” the dark elf was saying, as if caring little whether Tanis heard him or not, “no one knows this, not even Raistlin. The Shalafi grew ill once about a year ago, terribly ill.”
“I was alone, frightened. I know nothing of sickness. In desperation, I sent for Elistan. He came.”
「わたしはたった一人でおびえていました。病のことは何ひとつ知らなかったのです。死にものぐるいで、わたしはエリスタンを呼びにやりました。エリスタンは来てくれました」
“Did...did he...heal Raistlin?” Tanis asked in awe.
「エリ……エリスタンが……レイストリンを癒したのか?」タニスは恐れいってたずねた。
“No.” Dalamar shook his head, his long black hair falling down around his shoulders.
「いいえ」ダラマールはかぶりを振った。長い黒髪が肩に垂れかかる。
“Raistlin’s malady is beyond the healing arts, a sacrifice made for his magic. But Elistan was able to ease the Shalafi’s pain and gave him rest. And so, I have done nothing more than discharge my debt.”
「レイストリンの症状は癒しの技では治せませんでした。魔法の犠牲になっているからです。でも、エリスタンはシャラーフィさまの苦痛をやわらげ、休息を与えてくれることはできました。ですから、わたしは借りを返しただけなのです」
“Do you...care about Raistlin as much as this?” Tanis asked hesitantly.
「きみは……そこまでレイストリンのことを気にかけているのか?」タニスは口ごもりながらたずねた。
“What is this talk of caring, half-elf?”
「その気にかけているとはどういうことなのでしょう、ハーフ・エルフどの?」
“”Like Raistlin, I care for one thing only--and that is the Art and the power that it gives. For that, I gave up my people, my homeland, mu heritage. For that, I have been cast in darkness.”
「レイストリンと同じように、わたしが気にかけるのはただひとつのことです――それは魔法の技とそれがもたらす力です。そのために、わたしは一族を捨て、故郷を捨て、先祖伝来のものを捨てました。そのために、闇に身を投じたのです」
“How could I afford to lose him? Even now, when I think of what I must do to him, when I think of the knowledge he has gained that will be lost when he dies, I almost--“
「どうしてかれを失うことができましょう? こうしているいまでも、わたしはかれにしなければならないことを考え、かれが死ぬときに失われる膨大な知識のことを考えると、ほとんど――」
“Almost what?”
“Can you truly stop him, when he comes back, Dalamar? Will you stop him?”
「ほとんど、何だ?」
「やつがもどってきた時、おまえは本当に阻止ことができるのか、ダラマール? やつを阻止するつもりがあるのか?」
The Tower of High Sorcery stood dark and forbidding. No candles flickered in its windows. He wondered, briefly, who or what walked within that blackness to welcome the young apprentice home.
<上位魔法の塔>は黒々と不気味な姿でそそりたっていた。その窓には蝋燭の明かりなどない。あの闇のなかでこの若い弟子の帰りを待っているのは誰――あるいは何――なのだろうと、一瞬タニスは考えた。
***
愛憎にかけてはタニスちゃんより何枚も上手なダラマール。さすがキティアラ様と互角にやりあうだけあります。このシーンの前で、キティアラ様の思い出と格闘していたタニスちゃん、少しはかれから学ぶといいですよ。愛情もまた、はっきり白黒に分けられるものではないということを。
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