2016年5月25日水曜日

伝説3巻p140〜《「ぼく、死んじゃった」》

WAR OF THE TWINS p75
“I’m dead,” said Tasslehoff Burrfoot.

伝説3巻p140
「ぼく、死んじゃった」タッスルホッフ・バーフットは言った。

“And I suppose they intend for me to walk to wherever it is I’m going in the Afterlife. They don’t even provide transportation! This is really the last straw!”

「どうやらあの世でも、行きたいとこへ行くには歩いてかなきゃならないみたい。どっかへ運んでくれるものもないなんて! まったく踏んだり蹴ったりじゃないか!」

“I want to talk to whoever’s in charge!”

「誰か責任者を出してよ、話がしたいんだけど!」

The expression on her face was not horrifying, nor terrifying, nor threatening, nor awe-inspiring.; it was, in fact, not even an expression at all.

 顔に浮かんでいる表情は恐ろしくはなかった。威嚇するでもなく、畏れを抱かせるのでもない。そもそも表情というものがないのだ。

“After all, I did break a dragon orb, and I seem to recall once someone said I took something that didn’t belong to me, and…”

「どうせぼくはドラゴン・オーブを壊したし。前に自分のものじゃないものを取ったって誰かに言われたこともあるような気がします。それに……」

“…and I wasn’t as respectful of Flint as I should have been, I guess, and once, for a joke, I hid Caramon’s clothes while he was taking a bath and he had to walk into Solace stark naked. But”

「……それにフリントのことも、もっと尊敬するべきだったと。それから前に一度、冗談でキャラモンがお風呂にはいってるときに服を隠して、キャラモンをすっ裸でソレースの町に行かせたこともあります。でも」

--Tas could not help a snuffle--“I always helped Fizban find his hat!”

――すすり泣きを抑えることができなかった――「ぼく、いつもフィズバンが帽子を見つけるのを手伝ってやってたよ!」

***

 タッスル渾身の懺悔。本人はすすり泣いてますけど、読者は笑いを抑えることができません。


You are not dead,

『おまえは死んではいない』

It seemed to Tasslehoff that he saw, for the first time, a flicker of dark amusement in the woman’s shadowy eyes, and he shivered without understanding why.

 女性の翳った目におもしろがるような黒い光が閃くのを、タッスルホッフは見たように思った。なぜとは知らず、体が震えた。

Your coming has shown me the future. You have given me the chance to change it.

『おまえがきたおかげで未来が見えた。おまえがわらわに未来を変えるチャンスを与えてくれたのだ』

Only this time, when his soul seeks another body to house it, I will stop him. Thus, the young mage, Raistlin, in the future, will take the Test in the Tower of High Sorcery, and he will die.

『フィスタンダンティラスの魂が乗り移る肉体を探すとき、今度だけわらわはそれを止める。さすればあの若い魔法使い――未来のレイストリンだ――は<上位魔法の塔>の<大審問>を受けてそこで死ぬことになる』

One by one, the others will die. For without Raistlin’s help, Goldmoon will not find the blue crystal staff. Thus--the beginning of the end for the world.

『ほかの者も、一人また一人と死んでゆくだろう。なぜなら、レイストリンの助けがなくては、ゴールドムーンが青水晶の杖を見つけることもないからだ。かくして――世界の終焉がはじまるのだ』

***

 これ、本当に女王の思惑通りにいったでしょうかね。レイストリンが<大審問>に臨んだとき既に、パー=サリアンはパラダインの啓示を受けてかれを<剣>に選んでいたのですから。パラダインが直接レイストリンに助力はできなくとも、<女王>の干渉を邪魔することはできたんではないでしょうか。いや、<女王>が邪魔するのはあくまでフィスタンダンティラスの魂だから、それはやはりパラダインの手の及ぶところではないのかな。

 あと、青水晶の杖を見つけたのはリヴァーウィンドで、レイストリンたちが手伝ったのは<ミシャカルの円盤>の入手ですよね、とか細かいところ突っ込みつつ。「世界の終焉」=”the beginning of the end”=「終わりの始まり」というフレーズに勝手に震えております。


“No!”
“What have I done? What have I done?”

「まさか!」
「ぼくが何をしたっていうの? 何をしたっていうの?」

You have done such that even Paladine might be tempted to turn his back upon you, kender.

『おまえは、パラダインにすら背を向けられるようなことをしたのだ、<ケンダー>よ』

“When you are dead, the gods will determine your fate.”

「おまえが死ねば、神々はお前の運命だとみなすだろう」

“I see,” said Tas, choking back a lump in his throat. He hung his head. “I deserve it, I suppose. Oh, Tanis, I’m sorry! I truly didn’t mean to do it….”

「わかるよ」タッスルは喉につかえるかたまりをのみくだした。がっくりとうなだれる。「そうなってもしょうがないや。ああ、タニス、ごめんよ! ぼく、ほんとにそんなことするつもりじゃなかったんだ……」

***

 この暗黒僧侶さん、邦訳ではエリスタンによく似ている、と書かれていて、何かしら縁があるのかと思いましたが、原文では”resemble”ではなく”remind”でした。血縁のように似ていたわけではなく、たぶん僧侶としての雰囲気が似ていて、タッスルにそう思わせたのでしょうね。安心しました。

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