2016年5月1日日曜日

伝説2巻p115〜《鍛錬》

TIME OF THE TWINS p273
“One of the best, too,” the black-skinned man across from them said, grinning. “I am Pheragas of Northern Ergoth and this is Kiiri the Sirine--“

伝説2巻p115
「最強の一人だぜ」向かいの黒い肌の男がにやりと笑った。「おれは北エルゴスのフェラーガス。こいつはセイレーンのキイリだ」

“You’ll get used to it, in time,” he said with a shrug.
“I’ll never get used to it!” Caramon said, clenching his big fist.
Kiiri glanced at him. “You will, or your heart will break and you will die,” she said coolly.

「じきに慣れるさ」フェラーガスは首をすくめて言った。
「おれは絶対慣れたりしない」キャラモンは大きなこぶしを握りしめた。
 キイリがかれを見る。「慣れるよ、でなきゃ心臓が張り裂けて死んじまうからね」冷ややかに言い放った。

So beautiful was she, and so proud her bearing, that her own iron collar might have been a necklace of finest gold, Caramon thought.

その美しさ、堂々とした態度がきわだっているため、彼女がしている鉄の首輪も極上の金の首飾りのように思える。

“Was…was it the rack?”
Caramon mumbled a word.
“What?”
“I never heard of a torture called calisomething,”

“Cali…cali…calisthenics!”

「ご……拷問されたの?」
 キャラモンはひとつの言葉をつぶやいた。
「何?」
「じゅうなんとかなんて拷問は聞いたことないけどな」

「じゅう……じゅう……柔軟体操だ!」

“Was it about Tika?” asked the tenderhearted kender, feeling tears come to his own eyes at the sight of the big man’s grief. “No. Raistlin? No. Yourself? Are you afraid--“

「ティカの夢?」情にもろいケンダーは、大男の悲嘆ぶりを見て自分の目にまで涙がこみあげてくるのを感じた。「違う。レイストリン? 違う。きみ自身のこと? 何が怖くて――」

“A muffin!” Caramon blubbered. “Oh, Tas! I’m so hungry. And I had a dream about this muffin, like Tika used to bake, all covered with sticky honey and those little, crunchy nuts….”

「マフィンだよ!」キャラモンは泣きじゃくりながら言った。「ああ、タッスル! 腹がへってたまらないんだ。だからマフィンの夢なんて見たんだ。ティカがよく焼いてくれたやつ、とろーりと蜂蜜がかかってて、ナッツの粒が歯にさくさくと……」

Picking up a shoe, Tas threw it at him and went back to bed in disgust.

 タッスルは靴を取り上げ、キャラモンに投げつけると、うんざりしながら寝台に戻った。

***

 この、柔軟体操とマフィンのくだりも楽しみにしてました。期待を裏切らないこのやりとり。キャラモンだけでなくタッスルも鍛えられていってますねー。
 しかし、いかに愛妻家でティカが料理上手でも、普通こういう時一番に思い出すのは「おふくろの味」でしょう。でもキャラモンはお母さんの手料理なんてほとんど知らないのだろうな、と思ったら不憫になりました。キティアラ姉さんはそんなに手の込んだもの作りそうにはないですしね。

3 件のコメント:

  1. このコメントは投稿者によって削除されました。

    返信削除
  2. ワイス&ヒックマン以外の人が書いた外伝には、お母さんがマフィンを作りキャラモンが(手伝う)微笑ましいシーンがありました。体の調子がいい時しか作れない料理は、思い出に残ったはず。ティカのマフィンが恋しくなる理由も納得です。

    返信削除
  3. お母さんと一緒にマフィンを作るキャラモンですか!それは忘れられそうにないですね。そしてキャラモンが作ったのだけ失敗しちゃって、文句言いながらもしっかりその失敗作を食べるレイストリンとか、想像すると止まらないです(笑)

    返信削除