Closing his eyes, shivering in the room that was cool despite the heat outdoors, Raistlin pictured to himself once again the fragment dark hair hanging over him; he felt her touch, her warmth. Reaching up his hands, letting himself sink beneath her spell, he had parted the tangled hair--and seen Crysania’s face!
伝説2巻p258
戸外の熱気とはうらはらに寒く冷えたその部屋で目を閉じて震えながら、レイストリンはあのいい香りのする黒い髪が自分の上に垂れかかる様子をいままた思い描いていた。彼女の肌ざわり、ぬくもりが感じられた。両手を差し上げ、彼女の魅力に没してゆきながら、かれはからみあった髪の毛をかきわけた――そこにあったのはクリサニアの顔だった!
“I will not give in,” he muttered when he could breath. “You will not win me over so easily, my Queen,”
「負けはしないぞ」息ができるようになると、かれはつぶやいた。「そうやすやすとぼくを味方に引き入れることはできないよ、ぼくの女神どの」
***
“My Queen,”「ぼくの女神どの」で良かった。うっかり「ぼくの女王様」とか想像したらなんだか別の世界になってしまいますね。はいはい記憶から抹消。
“’Caramon,’ I could say, ‘the roof’s caving in,’ and you’d say, ‘That’s nice, Tas.’”
「『キャラモン』ってぼくが言うでしょ、『屋根が落ちてくるよ』って。そしたらきみ、『そりゃよかったな、タッスル』なんて言うんだもの」
“Raistlin and Lady Crysania and I were talking and, oh, Caramon! It’s so exciting. Tika was right, she’s in love with your brother.”
「レイストリンとレディ・クリサニアとぼくとでしゃべってたんだ、それでね、あっ、そうだ、キャラモン! すっごかったんだよ。ティカの言ったとおりだったんだ、彼女、きみの弟に恋してるんだ」
***
ひとの話を聞かないキャラモンが悪いのか、タッスルの話し方が悪いのか、そのせいで話半分に聞く癖ができちゃってるのか。それでも話が通じる二人。
“Lord Onigion’s man,” Pheragas said quietly, laying a hand on Caramon’s arm. “Count your fortunate, my friend. You can quit worrying.”
「やつの主人はオニギオン卿だ」フェラーガスは静かに言い、キャラモンの腕に手をかけた。「幸運に思うんだな、友人。もう心配はなくなったわけだ」
Whirling around, Caramon saw the young man fall into a writhing heap on the floor, clutching his chest and screaming in agony.
さっと振り向いたキャラモンは、若者が床に倒れてのたうちまわっているのを見た。胸をかきむしって苦悶の叫びをあげている。
Caramon hesitated, but Kiiri sank her nails into his arm, dragging him out into the hideous sunlight. “The score for the Barbarian is settled,” she hissed out of the corner of her mouth. “Your master had nothing to do with it, apparently.”
キャラモンはぐずついていたが、キイリがその腕に爪をたてて、かれを忌まわしい色の陽光のもとへと引っ張っていった。「これで蛮人殺しの清算がされたんだよ」口の端から、押しころした声を出して言う。「どうやら、あんたのご主人は関係なかったみたいだね」
Raistlin told him the truth!
Caramon felt a sensation of relief flow over him.
レイストリンが言ったことは本当だったのだ!
安堵の波が全身に広がってゆくのを、キャラモンは感じた。
He could go home! At last he understand. Raistlin had tried to tell him. Their paths were different, but his brother had the right to walk his as he chose.
The big man even enjoyed that day’s fighting.
家に帰れる! やっとそれがわかった。レイストリンはそれを言おうとしていたのだ。兄弟二人の道は別々になったが、弟にはかれが選んだ道を歩いてゆく権利があるのだ。
大男はこの日の闘いを楽しみすらした。
But it was at moment when Caramon and his team were taking their bows after a well-acted battle that the cyclone struck the Temple of Istar.
だが、キャラモンとチームの仲間が闘いの好演を終えてお辞儀をしているちょうどその時、イスタルの神殿を大竜巻が襲ったのだった。
***
<大変動>の予兆を目にし、友人たちや子供たちの運命を案ずるキャラモン。一方で、保護者のように感じていた若者が陰謀の道具として殺されるのを目の当たりにしても、それがレイストリンの潔白を意味すると悟って全身で安堵し、自分の試合を楽しむ余裕すら身につけてもいるのでした。闘技場での日々はかれのなまった身体だけでなく、ナイーヴな精神まで叩き上げたようです。それはどこまでレイストリンの計算のうちだったのでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿