2016年5月10日火曜日

伝説2巻p238〜《贈り物》

TIME OF THE TWINS p353
“Alter time!”

伝説2巻p238
「時を変えるんだ!」

“You are right, Raistlin,”
“When I first came here, I was frightened. You smile! But I was. I admit it.”

「あなたのおっしゃるとおりよ、レイストリン」
「最初ここへ来たときはわたし、おびえてましたのよ。笑ったわね!でもそうだったのよ。白状します」

But that was not what made the kender open his eyes wide. Crysania had changed!

 だが、ケンダーが目をまん丸にしたのはそのせいではなかった。クリサニアはすっかり変わってしまっていたのだ。

She was dressed as the other female clerics in white robes, but these were decorated with fine embroidary. Her arms were bare, though a slender golden band adorned one, enhanceing the pure whiteness of her skin. Her hair fell from a central part to sweep down around her shoulders with feathery softness.

 ほかの女性僧侶たちが着ているような白いローブをまとっているが、これには細かな刺繍が施されていた。両腕はあらわになっているが、片方の腕にはほっそりした金の腕輪が飾られ、肌の白さをひきたてていた。髪の毛は頭の真ん中から肩へ、羽根のようにふんわりと流れ落ちている。

***

 WoC社のペーパーバックの表紙イラストのクリサニアは、ここの描写をもとに描かれたものでしょうか。ドラゴンランスを知らない旦那に見せたら、レイストリンを「evil heart」背景のキャラモンを「pure heart」クリサニアを「良くも悪くも女性(にょしょう)」と言い当てていました。


“Humpf,” said the kender with interest. “Tika was right.”
“I don’t know why I come here,” Tas heard Crysania say after a moment’s pause.
I do, the kender thought gleefully, quickly moving his ear back to the kethole so he could hear better.

「へええ」タッスルは興味しんしんでつぶやいた。「ティカの言ったとおりだ」
「わたし、どうしてここへ来たのかわからないわ」しばしの沈黙ののち、クリサニアが言うのが聞こえた。
 ぼくもさ。ケンダーは上機嫌でそう頭のなかでつぶやくと、すばやくまた鍵穴に耳を当てた。

***

 ここちょっと不思議です。邦訳の「ぼくもさ」は、クリサニアの「わからないわ」への同意だと思って読んでいたんですが、原文だと「ぼくにはわかるよ」と言っているように見えるんです。ティカの言ったとおりだったんだ、てことがわかるよ、と。


Tasn quickly put his eye back to the keyhole. He’s going to kiss her! He thought, wildly excited. This is wonderful! Wait until I tell Caramon.

 タッスルはまた鍵穴に目をくっつけた。レイストリンはクリサニアにキスをしようとしてる! そう思ってわくわくしていた。すてきなことじゃない! 待っててね、キャラモン、すぐ話してあげるから。

“Come on, fool!”

「さっさとおやりよ、もう、ばかなんだから!」

Suddenly Raistlin let loose Crysania and turned away from her, abruptly rising out of his chair. “You had better go,”

 と、突然レイストリンがクリサニアから手を離し、くるりと振り向いた。さっと椅子から立ち上がる。「さっさと行ったほうがいいぞ」

***

 ばれてますよ出歯ケンダー。もちろん立ち去ったりはしないわけですが。だってキャラモンに報告する義務がありますものね。


 What magical device?” Raistlin demanded suddenly,
“I-I don’t know,” Crysania faltered.
“Oh, I’ll tell you,” Tas offered, stepping out from against the wall.

「魔法の装置とはどんなものなんです?」不意にレイストリンが詰問した。
「し、知りませんわ」クリサニアは口ごもった。
「ぼくが教えてあげるよ」タッスルは壁から離れて足を踏み出した。

Both Raistlin and Crysania were staring at him with the same expressions worn on the faces of those who suddenly see a spider drop into their soup at dinner.

 レイストリンとクリサニアはどちらも、夕食のスープに蜘蛛が落ちてきたのを目にしたように、まったく同じ表情を浮かべてタッスルを見つめていた。

“I came to stop the Cataclysm!”
For the first time in his life, the kender had the satisfactionof seeing his words absolutely stun Raistlin.

「ぼく、<大変動>を止めに来たんだ!」
 自分の言葉でレイストリンがまさにあっけにとられるのを見て、ケンダーは生まれてはじめて満足を覚えた。

“I just thought of something. I don’t think Caramon will let me have the device.”

「ちょっと思ったんだけど、キャラモンはきっと、ぼくにあの装置を持たせてはくれないだろうねえ」

“Don’t tell him.”
“But, that would be stealing!”
Raistlin’s lips twitched. “Let us say--borrowing,”

「言う必要はないさ」
「でも、それじゃあ盗むことになっちゃう!」
 レイストリンは唇を歪めた。「こう言えばいいさ――ちょっと拝借するってね」

“You have given me a gift,”
“a gift of onestimable value.”

「贈り物なら持ってきてくれたじゃないか」
「この上ない価値ある贈り物をね」

Tas suddenly found himself in the middle of the garden,staring at the rosebushes and an extremely surprised cleric who had seen the kender apparently materialize out of nowhere, right in the middle of the path.

 不意にタッスルは、庭園のど真ん中に立っていることに気づいた。薔薇の茂みを見つめ、小道のど真ん中にいきなり、どこからかケンダーが姿をあらわしたのを見てびっくり仰天している僧侶を見つめる。

“Qreat Reorx’s beard! I wish I knew how to do that,”

「偉大なるレオルクスの顎髭にかけて! どうやるのか、ぜひ知りたいなあ」

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