“It is not a bad system,”
“Certainly better than a thousand men killing each other on the fields of battle. Here, if one nobleman feels offended by another, their feud is hanled secretly, in private, to the satisfaction of all.”
伝説2巻p233
「そんなに悪い仕組みじゃないさ」
「戦場で千人もの人間が殺し合いをするよかずっとましさ。ここでは、貴族同士の反目がこっそりと人知れず処理されるんだ。双方が満足するまでな」
“The difference is I had a choice!”
“And I knew the cause I fought for! I never would have fought for anyone I didn’t believe was in the right! No matter how much money they paid me! My brother felt the same. He and I--“
「違いは、おれに選択権があったってことだ!」
「それにおれは、自分が何のために戦ってたか、ちゃんとわかってた! 正しいと思えない人間のために戦ったことはなかったぞ! どれほど大金をもらえるかには関係なくな! 弟も同じだった。弟とおれは――」
A man deserved a choice, to choice his own way to live, his own way to die. No one else had the right to determine that for him.
人間には選択する権利がある。好きな生き方、好きな死に方を選ぶ権利が。本人以外の誰にも、それを否定する権利などないのだ。
And then, in the predawn, a crushing weight seemed to fall on Caramon. He sat up, leaning on one elbow, staring unseeing into gray cell.
と、その時――夜明け前だ――押し潰すような重みが胸の上にのしかかってくるように思えた。キャラモンは片肘をついて上体を起こすと、定かには見えぬ灰色の狭い室内に目を凝らした。
If that was true, if every man deserved a choice, then what about his brother? Raistlin had made his choice--to walk the ways of night instead of day. Did Caramon have the right to drag his brother from those paths?
もしそれが本当なら、すべての人間に選択権があるというのなら、それなら弟にはどうだったのだ? レイストリンは自分自身の選択をしたのだ――日の光の中ではなく夜の径を歩むという選択を。その弟をそうした道から引きずり出そうという権利が、はたしてキャラモンにあるのだろうか?
His mind went back to those days he had unwittingly recalled when talking to Kiiri and Pharagas--those days rightbefore the Test, those days that had been the happiest in his life--the days of mercenary work with his brother.
キャラモンの心は、キイリとフェラーガス相手にしゃべっていたとき無意識のうちに思い出していた日々へと遡っていった――<大審問>直前の、かれの人生で一番幸福だった日々へと。
The two fought well together, and they were always welcomed by nobles. Though warriors were common as leaves in the trees, magic-users who could and would join the fighting were another thing altogether.
二人はともに闘い、貴族たちにはいつも歓迎されていた。戦士は木の葉みたいにいくらでもいたが、戦闘におもむくことができ、またその意思のある魔法使いとなると、話はまったく別だったからだ。
But they always selected the cause they fought for with care.
“That was Raist’s doing,” Caramon whispered to himself wistfully.
だが、二人はいつも、自分たちが闘う理由については慎重に選んだ。
「それがレイストのやり方だった」キャラモンはなつかしそうに独りごちた。
“I would have fought for anyone, tha cause mattered little to me. But Raistlin insisted that the cause had to be a just one. We walked away from more than one job because he said it involved a strong man trying to grow stronger by devouring others….”
「おれは誰のためにでも闘ったし、理由なんてどうでもよかった。だがレイストリンは、理由は正当なものでなければならんと言い張っていた。これは強者が他人を貪ってより強くなろうとしているとあいつが言ったために、おれたちが引き受けるのをやめた仕事は一つや二つじゃなかった……」
“But that’s what Raistlin’s doing!”
「だが、レイストリンがこのとんでもないことをやろうとしているのはまちがいないんだ!」
“What should I do?”
「おれは何をすればいいんだ?」
***
キャラモン、覚醒の第一歩。
二人の傭兵時代、仕事の選り好みをできるほど引っ張りだこだったのはレイストリンのおかげで、その選択をしていたのもレイストリン。かれがいなかったら、キャラモンは食うに困って汚い仕事に手を出さざるをえない破目に追い込まれていたかもしれません。
いくら大金を積まれても、正当でない闘いには手を貸さないレイストリンの矜持。もしスタームが見たなら感心して一目置きそうに思えるんですが…それでも一緒にやってくのは無理ですか。いや、レイストリンの矜持とスタームの騎士の名誉はやはり根本的に異なりますか。
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