But there were times, particularly in the spring, when his elven soul longed for the woodland home he had left forever.
伝説4巻p31
だが時おり――特に春――かれのエルフの魂が、今生の別れを告げてきた故郷の森林に焦がれるのを感じることがあった。
A dark elf--one who is cast from the light. Such was Dalamar to his people.
黒エルフ――光から放逐された者。それが、自らの種族に対するダラマールの立場だった。
Deprived of his sight, Dalamar’s last memories of Silvanesti were the smells of aspen trees, blooming flowers, rich loam. it had been spring then, too, he recalled.
目隠しをされていたせいで、ダラマールがもつシルヴァネスティの最後の思い出はポプラの木々の香り、花々や豊かな土壌の匂いだった。あのときもやはり春だった――それが思い出される。
Would he go back if he could?
もしも戻れるなら自分は戻っていくだろうか?
Dalamar stared out the window with a grim, twisted smile, reminiscent of Raistlin, the Shalafi. Almost unwillingly, Dalamar’s gaze went from the peaceful, starlit night sky back indoors, to the rows and rows of nightblue-bound spellbooks that lined the walls of the library.
レイストリン――シャラーフィさま――を思わせる苦い歪んだ笑みを浮かべて、ダラマールは窓の外を見やった。やがて視線はしぶしぶながら、穏やかな星の輝く夜空から室内へと向けられ、書斎の四面の壁にぎっしりと何列にもなって並ぶ夜藍色の呪文書をなぞっていった。
No, he would never return. Never leave....
いや、帰ることはないだろう。ここを去ることは絶対にない……
But Kitiara was, in another respect, different from most warriors--the main reason she had outlived all who opposed. her. She was skilled at assessing her opponents.
だが、また別の点では、キティアラはたいていの戦士とはちがっていた――それが、彼女がすべての敵よりも長く生き永らえてきた理由でもある。彼女は敵の力量を正確に見ぬく目をもっていたのだ。
One look at Dalamar’s cool eyes and composed stature--in the face of her anger--and Kitiara wondered if she might not have encountered a foe worthy of her.
彼女はダラマールの冷ややかな眼差しと自分の怒りに面しても落ち着きを保っている態度とを見てとり、自分に匹敵するほどの敵に出あったのではないかと考えた。
“Forgive me, Dalamar--that’s your name, isn’t it?”
“That damned Grove unnerves me. You are right. I should have notified my brother I was coming, but I acted on impulse.”
“I...often act on impulse.”
「許せ、ダラマールよ――そういう名だったな?」
「いまいましい原林のせいで気がたっていた。おまえの言うとおりだ。ひとことくると弟に知らせておけばよかった。だが急に思いたったものでな」
「わたしは――衝動的に行動することがよくあるのだ」
“Remove your glove, lord.”
「手袋をおとりなさい、女卿どの」
Shrugging, Kitiara jerked one by one at the fingers of the leather glove, baring her hand.
“There,”
“you see that I hold no concealed weapon.”
肩をすくめ、キティアラは指を一本、また一本と革手袋から抜き、手をあらわにした。
「ほら」
「見てのとおり、武器は隠しもってはいないぞ」
“Oh, I already knew that,” Dalamar replied, now taking the hand in his own. His eyes still on hers, the dark elf drew her hand up to his lips and kissed it lingeringly. “Would you have had me deny myself this pleasure?”
「そのことなら、とっくにわかっていましたよ」その素手を握りながら、ダラマールは言った。キティアラの目をひたと見すえながら、黒エルフは剥きだしの手を引きよせ、慈しむように接吻した。「わたしにこの喜びを味わせまいというおつもりだったのですか?」
Slipping her hand from his grasp, Kitiara put it behind her back with a playful female gesture that contrasted oddly with her armor and her manlike, warrior stance. it was a gesture designed to attract and confuse, and she saw from the elf’s slightly flushed features that it had succeeded.
キティアラは黒エルフの手から自分の手を引き抜き、背中にまわした。着ている鎧や戦士らしい男っぽい態度とは対照的な、はしゃいだ女性の仕草だった。男を惹きつけておいてまごつかせるよう意図された仕草であり、エルフの顔がかすかに赤らんだことからこれがうまくいったことが見てとれた。
“There are matters I should explain to you,”
“This way take some time. At least let us be comfortable. Will you come to my chambers?”
「お話ししなければならないことはいろいろあります」
「時間がかかりますよ。もう少し居心地のいいところに行きませんか。わたしの私室というのはいかがでしょう?」
He extended his arm. Kitiara hesitated, then laid her hand upon his forearm. Catching hold of her around her waist, he pulled her close to his body.
ダラマールは腕をさしだした。キティアラはためらったが、黒エルフの腕をとった。ダラマールは彼女の腰に手をまわし、女卿を引き寄せた。
“In order for the spell to transport us,”
“I’m quite capable of walking,”
“I have little use for magic!”
「移動の呪文のためです」
「わたしには足があるのだぞ」
「魔法など必要ないわ!」
“Very well,” Dalamar shrugged and suddenly vanished.
“Up the spiral staircase, lord. After the five hundred and thirty-ninth step, turn left.”
「ではどうぞ」ダラマールは肩をすくめ、忽然と消え失せた。
「螺旋階段をのぼっていらっしゃい、女卿どの。五三九段でつきますよ」
***
レイストリンとクリサニアがまごまごしてる一方、こちらは百戦錬磨同士の対決ですよ。ダラマールが一歩リードしてるように見えるのは自分のホームだからですね。五百三十九段とかって、パランサスの塔は何階建てなんでしょうか。レイストリンの部屋はもっと上の階でしょうし、前に来た時はレイストリンの移動の呪文に乗ったのではないですかね。その前のクリサニア訪問時にも特にコメントはないですし…ダラマール、呪文のためといいながらしっかり役得を狙ってるのは明らか。まったく師匠が大変な時にこの弟子は!(次回も大荒れの模様です)
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