2016年6月6日月曜日

伝説3巻p313〜《価値》

WAR OF THE TWINS p178
Here she planned to accomplish a two-fold purpose: she would alter time and she would prove--to Caramon and his brother and herself--that she was more than a piece of useless, even dangerous, baggage.

伝説3巻p313
 ここで、ある目的を果たそうと思ったのだ。それは時を変えることと、そしてキャラモンとその弟と自分自身とに、自分は役立たずの危険なお荷物ではないと証明してみせることだった。

She would prove her own worth.
Here, in this village, Crysania intended to bring back the worship of the ancient gods.

 自分自身の価値を立証してみせたい。
 クリサニアはこの村で、いにしえの神々への信仰を呼び戻すつもりだった。

I had abandoned my faith, I was using my “charms” to try to bring him to me, instead of my example to bring him to Paladine.

 わたしは信仰をなげうったのだから。レイストリンに模範を示してパラダインのもとに導くかわりに、「色香」を使って相手を自分に向けさせようとしたのだから。

By returning to camp with a corps of followers, of true believers, she planned not only to show him that he was wrong--that time could be altered by bringing clerics into a world where, before, there were none--but also she hoped to extend her teachings throughout the army itself.

 まことの信仰をもつ信者の一隊を率いて野営地に戻れば、レイストリンにかれがまちがっていたことを――本来僧侶のいないはずの世界に僧侶を誕生させたことによって、時を変え得たことを――見せることができるばかりか、軍勢のなかにも教えを広めることができるようになるだろう。

Thinking of this, making her plans, Crysania felt more at peace with herself than she had in the months since they’d come to this period. For once she was doing something on her own. She wasn’t trailing along behind Raistlin’ or being ordered about by Caramon. Her spirits rose.

 こうしたことを考え、計画を練っていると、この時代にきてからの数カ月で一番心が安らぐような気がした。今度だけは、自分で何かをするのだ。レイストリンのうしろにくっついていくのでなく、キャラモンに命じられるのでもなく。

“She has placed herself in grave danger,”

「クリサニアはひどく危険な状態にあります」

***

 貴族の姫君として箱入りで育ち、その後も神殿という特殊な環境にあった若い女性として、この意志の力と行動力は瞠目すべきかと思います。ところでクリサニア、一体いくつなんでしょうね?
 エリスタンに出会って感銘を受け、それまでの生活に背を向ける前、彼女には何の不足もない、好感も抱いている婚約者がいました。なのにまだ結婚していなかった理由として、ふさわしい年齢ではなかったから、というのがまず考えられます。パランサスのお嬢様の結婚適齢期がいくつぐらいかは知りませんが、まだ適齢期でない=本当の意味で成人していないと見なされる年齢プラス、聖女になるまで二年、そしてここまでの数カ月…二十代前半というところでしょうか。凄すぎます。少なくとも私が二十代前半の頃(大学院生やってました)とは比較になりません。
 頑張れ乙女。何度こけても立ち上がれ。

2 件のコメント:

  1. クリサニアのバイタリティには驚かされるばかりです。箱入りお嬢様生活を捨ててパラダインに仕える経歴もですが、何より彼女の行動力は並大抵のものではありません。レイストリンへの恋心が盲目...というのも一因でしょうが、同年代の人間として尊敬の念を抱きます。

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  2. 行動力もすごいですし、普段から人の話に耳を傾け、踏み跡を消す方法を独学して、ここぞとばかりに実践する能力も並外れてますね。過去に囚われることを恐れるレイストリンに、自分の行動をもって過去は変えられると示そうとするのも健気です。そこに少なからず自身の野心が入っていたとしても。

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