2016年4月29日金曜日

伝説2巻p80〜《白衣》

TIME OF THE TWINS p254
“I wonder,” remarked Elsa, smoothng Crysania’s dark hair back from her slumbering face. “There was a young girl in pur Order who had the power of true healing. That young girl who was seduced by the Solamnic knight.”

伝説2巻p80
「そうでしょうか」エルサは、すやすやと眠るクリサニアの顔にかかる黒髪をそっとかきあげた。「わたくしたちの教団に、まことの癒しの力を持つ若い少女がおりました。ソラムニアの騎士にたぶらかされたあの少女です」

“You occasionally find some, particulaly among the very young or the very old, who have the power. Or think they do.”

「時おり、力をもつ者たち、もしくは自分が力をもつと思っている者たちが見出される。殊に非常に若い者と、非常に年老いた者とのなかに」

“Frankly, I am convinced most of it is simply a result of people wanting to believe in something so badly that they convince themselves it is true.”

「打ち明けて言うが、力というものは、人々があまりに激しく何かを信じようとするあまりに、それが本当のものだと信じこんでしまった結果にすぎないのだと、わしは確信しておるのじゃよ」

Her mind went suddenly to what Raistlin had shown her--the poverty and want so near the Temple--and she flushed uncomfortably.

 不意に、クリサニアはレイストリンが見せてくれたもの――神殿のすぐそばの貧困と困窮――を思い出し、ばつが悪い思いで顔を赤らめた。

Not at all like the plain, austere white robes worn by those of her Order in Palanthas.

 パランサスの彼女の教団の人々が着ている飾りけのない簡素な白いローブとは似ても似つかない。

More extravagance. Crysania bit her lip in displeasure, but she also took a peep at herself in a gilt-framed mirror. It certainly was becoming, she had to admit, smoothing the folds of the gown.

 ずいぶん贅沢だ。クリサニアは不快そうに唇を噛んだが、金縁の鏡にちらりと目を向けてもいた。確かに映りがいいわ。ローブの襞をなでつけながら、そう認めないわけにはいかなかった。

I can only caution you of one thing--beware of Raistlin.

 わたしにできるのは、あなたにひとつのことを警告するだけだ――レイストリンに用心しなさい。

You are virtuous, steadfast in your faith, and proud of both your virtue and your faith. This is a deadly combination, my dear. He will take full advantage of it.

 あなたは徳高く、不変の信仰をもっており、その高潔さと信仰とを誇りとしている。これは下手をすれば致命的な取り合わせになるのだよ、クリサニア。レイストリンはそこに最大限につけこむことだろう。

But you, Crysania, are in danger of both your life and your soul. I foresee that you will be forced to choose--to save one, you must give up the other.

 しかしあなたは、クリサニア、生命も魂も危険に脅かされているのだ。わたしが予見したところでは、あなたは選択を強いられるだろう――片方を救おうとすれば、もう片方は諦めねばならぬ。

There are many ways for you to leave this time period, one of which is through Caramon. May Paladine be with you.

 あなたがこの時代を去る方法はいくつもあるが、そのひとつはキャラモンを通してである。パラダインがあなたとともにおわしますように。

Par-Salian
Order of the White Robes
The Tower of High Sorcery
Wayreth

ウェイレスの上位魔法の塔
白ローブの魔法使い
パー=サリアン

***

 毎回、エントリタイトルをつけるのに楽しく頭を悩ませてます。考えるまでもなくこれしかない!という時もあればこじつけもあり、なるべく漢字二文字に収めるようにしつつも、台詞をまるごと持ってくることもあったり。今回のは割と気に入ってます。イスタルの僧侶たちの豪奢な白ローブに戸惑うクリサニア。枢密会議の長ではなく、一介の「白ローブの魔法使い」として署名するパー=サリアン。

0 件のコメント:

コメントを投稿