2016年4月27日水曜日

伝説2巻p32〜《innocence》

TIME OF THE TWINS p225
The beautiful elven voices rose higher and higher, their sweet notes spiraling up the octaves as though thei would carry their prayers to the heavens simply by ascending the scales.

伝説2巻p32
 エルフたちの美しい声はどんどん高くなっていき、甘い調べが何オクターブも上昇してゆく。まるで音階を昇っていくことで、かれらの祈りが天に届くとでもいうかのようだ。

When their song reached a crescendo of sweetness, a chorus of deep, male voices joined in, keeping the prayers that had been sweeping upward like freed birds tied to the ground--clipping the wings, so to speak.

 歌が甘やかさの絶頂に達した時、深い男声合唱が加わって、解き放たれた鳥のように舞い上がっていこうとする祈祷を地上に縛りつける――そう、羽根を切るように。

***

 この世界にも賛美歌はありました。天に届けよとばかりに高く高く昇ってゆく歌声と聞くと、いろいろ想い出される響きがあります。その多くは甘やかな調べではなく、救いを求める切実な訴えですが。
 一方で、低い男声が加わることで歌声が地に縛り付けられるような合唱って想像がつきません。むしろ男声が加わり支えてくれることで、安心してより高く、より遠くまで歌えるように感じたことが多いです。イスタルの神官たちはこの歌を通して信徒に何を伝えたいのでしょう。


Quarath smiled a delicate smile. His thin elven face with its finely sculpted features seemed to be made of fragile porcelain, and he always smiled carefully, as if fearing his face would break.

 クァラスは上品な微笑を浮かべた。美しく整った細面のエルフ顔は壊れやすい磁器ででもできているようだ。かれの微笑はいつも、まるで顔が壊れるのを恐れるかのように慎重に浮かべられた。

Denubis drew a deep breath. “My lord,” he said earestly, “about that young man. Will he be released? And the kender?” He was suddenly inspired.

 デヌビスは深く息を吸い込んだ。「師よ」真剣な顔で言う。「あの若者のことですが。あの者は放免されるのでしょうか? それからケンダーも?」突然奮いたった。

 “I thought perhaps I could be of some help, guide them back to the paths of good. Since the young man is innocent--“

「わたくしはあの者たちを善の道に呼び戻すように、いくらか手助けできるのではないかと思ったのです。あの者たちは無実なのですから――」

“Who of us is truly innocent?”

「われわれのうちで真に罪なき者とは誰ぞ?」

Quarath makes it sound like a charitable act, selling a man into slavery, Denubis thought in confusion.

 人を奴隷として売り飛ばすことを、まるで慈悲深き行いのように言う。デヌビスは戸惑いを覚えていた。

“And do not fear to question us. That is how we learn.”

「われわれに異議を唱えることを恐れることはない。われわれはそうして学んでゆくのだから」

“He fears him?” Denubis asked innocently.
Quarath’s porcelain smile became fixed for a moment,

「陛下はあの者を恐れておいでなのですか?」デヌビスは無邪気に尋ねた。
 クァラスの磁器の微笑がしばしのあいだ張りついた。

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