2016年4月6日水曜日

伝説1巻p48〜《need me》

TIME OF THE TWINS p48
“He was so happy, Tanis, for a while. People needed him.”

伝説1巻p86
「この人はとっても幸せだったの、タニス、しばらくの間はね。みんながかれを必要としてくれた」

“No one needed him,”
“Not even me….”

「かれを必要とする人が誰もいなくなったわけだ」
「わたしまでもが……」

***

They don’t understand. They don’t need me. Even Tika doesn’t need me, not like Raist needed me. 
 だが、かれらにはわかっていないのだ。かれらはおれを必要としていない。ティカでさえおれが必要ではない――レイストがおれを必要としたようには。

 鮮血海の底でのキャラモンの絶望。かれにとって最も重要なもの、力の源は「必要とされること」でした。自分でもあんまりな例えだとは思いますが、レイストリンの件がかれにとどめを刺した毒物や病原菌だとすれば、ティカやソレースの人々に必要とされなくなったことは、栄養失調や睡眠不足による体力の低下のようなものだったのかもしれません。


“Caramon wrote to him, Tanis. I saw the letter. It was--it tore my heart. Not a word of blame or reproach. It was filled with love. He begged his brother to come back and live with us. He pleased with him to turn back on the darkness.”

「噂を聞いて、キャラモンはあの人に手紙を書いたわ。わたし、その手紙を見たの。胸が張り裂けたわ。一言も非難や咎めだての言葉はなかった。愛情いっぱいの手紙だった。戻ってきておれたちと一緒に暮らそう、と頼んでたわ。どうか闇に背を向けてくれ、と書き連ねて」

“’I have no brother. I know no one named Caramon.’ And it was signed, Raistlin!”

「『ぼくには兄はありません。キャラモンという名の者など知りません』そして、レイストリン、と署名して!」

“Caramon…This is Caramon Majere? This is his brother?”

「キャラモン――これがキャラモン・マジェーレなのですか?これがあの人の兄?」

“Your ‘sensitive and intelligent perfectioninst’ had a hand in making this man the ‘pathetic wretch’ you see, Revered Daughter,”

「あなたのおっしゃる『鋭敏で知的な完全主義者』が、この男を、ご覧のような『情けない破廉恥漢』にするのに一役買ったのですけどね、聖女さま」

“Perhaps it was for lack of love that Raistlin turned from the light to walk in darkness.”

「愛情が欠けていたために、レイストリンが光に背を向けて闇の道へと歩み入るようなことになったのではありませんか?」

Tika looked up at Crysania, an odd expression in her eyes. “Lack of love?” she repeated gently.

 ティカがクリサニアを見上げた。奇妙な表情が瞳にうかんでいる。「愛情が欠けていた?」彼女は静かに繰り返した。

***

 うわっ、思わず頭抱えましたよここ。現代のネットスラングならDQN、KYというところでしょうか(実はあまり意味わかってません)。さっきの「愛情いっぱいの手紙」の話聞いてなかったんですか聖女さま。ティカ、よく掴みかからなかったものです。それは聖女さまへの尊敬の念ゆえか、それとも…


“Destroy!” Crysania regarded Tanis in shock, her gray eyes cold. “I do not seek his destruction.”

「滅ぼす?」クリサニアは驚いたようにタニスを見た。灰色の瞳が冷たい。「わたしはレイストリンの破滅を求めてなどおりません」

Tanis stared at her in amazement.
“I seek to reclaim him,”

 タニスが仰天して彼女を見つめる番だった。
「わたしはかれを回心させたいのですわ」

"You are very wise, Tanis Half-Elven. But this time you are wrong,"
"Lady Crysania isn't mad. She's in love."

「あなたはとても賢いわ、タニス。でも、今回はあなたは間違ってる」扉口に佇んで、彼女は胸の内でつぶやいた。「レディ・クリサニアは狂ってるんじゃないのよ。彼女は恋をしてるのよ」

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