2016年4月26日火曜日

伝説2巻p13〜《聖者》

TIME OF THE TWINS p215
Denubis detested spiders. He hated all insects, in fact; something he never admitted and, indeed, felt guilty about.

伝説2巻p13
 デヌビスは蜘蛛が大嫌いなのだ。実をいうと、昆虫はどれもこれもみんな大嫌いだった。それはかれが決して認めようとはせず、また、うしろめたく思っていることであった。

Was he not commanded to love all creatures, except, of course, those created by the Queen of Darkness?

 生きとし生けるものすべてを愛せよ、そう命じられているのではなかったか? むろん、<暗黒の女王>に造られたものは除いてだ。

***

 蜘蛛が嫌いで、そのことにうしろめたさを感じ、自分の至らなさを常に自覚している聖者デヌビス。作中に登場するパラダインの僧侶の中で最も好感が持てる、この人の説教なら聞いてみたいと感じます。さすがフィスタンダンティラスに目をつけられるだけのことはあります。

「生きとし生けるもの全てを愛せ」と言いながら、でも邪悪な生き物は別、と、さっくり差別してのける神の教え。「人を殺してはならない、でも邪悪な人は別」との境目はどこにあるのでしょうか。私もいい加減視力が落ちて見えなくなってきましたよ。
 脱線ついでに「おら、けだものじゃない!」が”Me no creature!”だと知った時は驚きました。”creature”ってそんなひどい意味を込めて使われるのかと。”create”の結果として創造されたもの、まさしく生きとし生けるものに対し公平に使われる言葉かと思ってました。
 そこでまた久々にライトハウス英和辞典を引いてみますと。

creature 2 人.
語法:特に女性を指し、愛情・同情・軽べつなどの感情を含む形容詞を伴うのが普通。

 例文は省略しますが、これをそのままに受け取れば、パー=サリアンがブープーを”creature”呼ばわりしたのは、さほどひどい侮辱ではないように思えてしまいます。少なくとも、震え上がっていたブープーを激昂させ、あそこまでの啖呵を切らせるほどのことではないような。
 ああ、いい辞書欲しいなあ。”conjuration”をここまで解説してくれるものでなくてもいいですから。

https://twitter.com/MuseeMagica/status/692702732247937024


The figure within the shadows stirred, the dark line formed by the thin lips widened--the figure’s approximation of a laugh.

 影に沈んだ人影は身じろぎし、薄い唇のつくる黒い線が広くなった――それは笑っているといってよいものだった。

“Do you ask the wind how it blows? Dou you question the stars to find out they shine? I know, Denubis. Let that be enough for you.”

「おまえはどうして吹くのかと風に問うか? なぜきらめくのかと星々に尋ねるか? わしにはわかるのだ、デヌビス。おまえにはそれで十分だ」

“Yes,” Denubis replied, his eyes on Tas as the two guards led the kender and Caramon away through the rapidly thinning crowd in the marketplace. “I do know kender. And that’s a remarkable one.”

「ああ」デヌビスの目は、急にまばらになった市場の人ごみのあいだを縫って、キャラモンとともに衛兵に引き立てられていくタッスルに注がれていた。「わたしはケンダーというものをよく知っておる。あれは実に珍しいケンダーだよ」

***

謙虚な聖者の目に映る“Dark One”<黒きお方>、そしてかれが予告した、意識不明の聖女と巨躯の野蛮人の登場。そして予想外の、実に珍しいケンダー。再読なのにわくわくしてきます。

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