2016年4月17日日曜日

伝説1巻p274〜《枢密会議》

TIME OF THE TWINS p155
The Art--Magic. It was parent, lover, spouse, child. It was soil, fire, air, water. It was life. It wad death. It was beyond death.

伝説1巻p274
 魔術――魔法。それは親であり、恋人であり、配偶者であり、子供である。それは土であり、火であり、大気であり、水である。それは生であり、死であり、死を超えるものである。

Who questions the gods? They demanded a sword. I found one. And--like all swords--it was two-edged.

 神々に異議を唱えるものがどこにいる?神々は<剣>を要求した。わたしはそれを見つけた。そして――どの剣もそうであるように――その剣は両刃の剣だったのだ。

Of all the Conclave, only the old man’s face was visible.

 この<枢密会議>全員の中で、唯一、例の老人の顔だけがフードから現れていた。

“You know of his evil?”

「そなたはかれの邪悪な噂を知っておろう?」

A sneering voice rang through the hall,”You know nothing, Great One. You are a fool!”

 そのとき、冷笑的な声が広間に響き渡った。「ご大老よ、あなたは何もご存知ではない。あなたは愚か者です!」

“Then what does he want?”

「では、何を求めておるのだ?」

Tas, peering out around Caramon’s arm, saw the delicate, cruel features of the dark elf relax in a smile--a smile that made the kender shiver.

 タッスルがキャラモンの腕のわきから覗いてみると、黒エルフの優美で残忍な顔がほころんで微笑を浮かべたところだった――ケンダー族のかれでさえ戦慄するほどの微笑。

“He wants to become a god,” Dalamar answered softly. “He will challenge the Queen of Darkness herself. That is his plan.”

「かれが求めているのは神になることです」ダラマールは穏やかに答えた。「かれは<暗黒の女王>自身に挑戦するつもりです。それがかれの計画です」

***

 たぶん、日本の一般的な宗教観を持つ人には、米国本国の読者にこの台詞が与えたであろう衝撃は十分味わえていないだろうと思います。いたるところに、人を神として祀った神社がある、人と神との間の敷居が低い国ですから。


“He said to give you his regards, Par-Salian!”

「パー=サリアン殿、かれは、あなたによろしくと言っておりました!」

The great mage’s head bent. The hand rising to support it shook as with a palsy. He seemed pld, feeble, weary. For a moment, the mage sat with his eyes covered, then he raised his head and looked intently at Dalamar.

 老魔法使いはがくりとうなだれた。頭を支えようと上げた手も、中風のように震えている。かれは急に、年老いて、弱々しく、疲れて見えた。一瞬、すわったまま目を覆ったが、また頭を上げると、まじまじとダラマールを見た。

“Your return?”
“But he knows you for what you are--a spy, sent by us, the Conclave, his fellows.”

「戻る、だと?」
「だが、かれはおまえの正体を見破っているのだろう?おまえがスパイであり、それを送り込んできたのはかれの傍輩たるわれわれ枢密会議だ、と」

“He knows me,”
“He knows he has ensnared me. He has stung my body and sucked my soul dry, yet I will return to the web.”

「かれはわたしを熟知しています」
「わたしがすでにかれにからめとられてしまったことを、承知しているのです。かれはわたしの体に毒牙を埋め、わたしの魂を吸い取ってしまったというのに、それでもわたしはその蜘蛛の巣に帰らずにはいられません」

“Nor will I be the first,”
“Will I, brother?”

「でも、そうなったのはわたしが初めてではないはず」
「そうでしょう、お兄さん」

“Yes, your brother’s hand did this,”
“It is no matter,”
“it was no more than I deserved.”

「そうだ、この傷はきみの弟につくられたものだ」
「こんなことは何でもない」
「当然の報いなのだから」

“Tell us, Dalamar,what he plans. Unless, of course, he has forbidden you to speak of it.” There was a note of irony in the mage’s voice that the dark elf did not miss.

「ダラマールよ、かれが何を企てているか教えてくれ。もちろん、口止めをされていないならばな」老魔法使いの声に皮肉な響きがあるのを、黒エルフは聞き逃さなかった。

“No,” Dalamar smiled grimly.” “I know his plans. Enough of them, that is. He evevn asked that I be certain and report them to you accurately.”

「喜んで」ダラマールは陰惨な微笑を浮かべた。「かれの計画なら承知しています。充分にお話ししましょう。むしろ、忘れずに正しくあなたがたに報告するよう、かれから言いつけられていますから」

***

 この辺りから物語の密度が急上昇し、息を呑むシーン、衝撃の台詞が連続で、どこで区切りをつけたものか悩みます。目安としては一章につき二回、くらいです。

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