“There are no creatures from Beyond lurking in the corners, Ladonna, I assure you,” the old mage said dryly. “Had I wanted to banish you from this plane, I could have done so long ago, my dear.”
伝説1巻p320
「部屋の隅に異界からの怪物どもは潜んでおらんぞ、わがラドンナ、わたしが保証する」老魔法使いはそっけなく言った。「この次元からそなたを追放したいと思っていたなら、わたしはとうの昔にそうしていたよ、なあ?」
“When we were young?” Ladonna cast aside her hood.
「わたしたち二人がまだ若いうちに?」ラドンナはフードをはずした。
Iron-gray hair, woven into an intricate braid coiled about her head, framed a face whose beauty seemed enhanced by the lines of age that appeared to have been drawn by a masterful artist, so well did they highlight her intelligence and dark wisdom.
鉄灰色の髪が複雑な編み方で頭にきっちりと巻かれ、顔を縁どっている。その顔を一層美しく見せているのが老齢による皺で、名工の手で引かれたような見事なその皺は、彼女の知性と秘められた学識をくっきりと際立たせていた。
“That would have been a contest indeed, Great One.”
“Drop the title, Ladonna,” Par-Salian said. “We have known each other too long for that.”
「さぞやきわどい争いになっていたことでしょうね、ご大老」
「敬称はよしてくれ、ラドンナ」パー=サリアンは言った。「長いつきあいではないか」
“Known each other long and well, Par-Salian,” Ladonna said with a smile. “Quite well,” she murmured softly, her eyes going to the fire.
「長くて深いつきあいね、パー=サリアン」ラドンナはほほえんだ。「とても深い……」彼女は低くつぶやいて暖炉の火を見つめた。
“Would you go back to our youth, Ladonna?”
“To trade power and wisdom and skill for what? Hot blood? Not likely, my dear. What about you?”
「若い頃の二人に戻りたいのか、ラドンナ?」
「知識と力と技とを白紙に戻して、その見返りは? 熱い血潮? いいえ、遠慮しておくわ。あなたは?」
“I would have answered the same twenty years ago,”
“But now…I wonder.”
「二十年前ならわたしも同じ答えをしただろう」
「だが、今は……どうだか」
***
白ローブの首座にして<枢密会議>の長、パー=サリアン。黒ローブの首座、ラドンナ。この二人の間に過去に何があったのか、あるいは今もあるのか。憶測の域を出ませんが、原文では”my dear”と呼び合う間柄だったようです。
“And that is why we must send her back in time.”
“I fail to see--“
“She must die, Ladonna!” Par-Salian snarled. “Must I conjure a vision for you?”
「さればこそ、われわれは彼女を過去へ送らねばならないのだ」
「よくのみこめないけれど――」
「過去へ送れば彼女が死ぬはずだからだよ、ラドンナ!」パー=サリアンが吐き捨てるように言った。「あからさまに言わせんでくれ」
“So you will send her death,”
“Your white robes will be stained red with blood, my old friend.”
「では、あなたは彼女を死ににゆかせるつもりなのね」
「あなたのその白いローブは血で赤く汚れることでしょうね」
“What truth?”
“You will have to show her,”
“Prove to her how great the danger is.”
「何の真実?」
「彼女にも見せてあげるべきでしょう」
「どれほど危険が大きいかを証明してあげねば」
“Go ahead!” Par-Salian snapped.
“You know I cannot lie to you, Ladonna.”
“Though you may lie to others,” Justarius said softly.
「さあ!」パー=サリアンが促す。
「ラドンナ、わたしがきみに嘘をつけんのは知っているだろう」
「他の者にはついてもね」ユスタリウスが低くあてこする。
Then it wavered and coalesced, forming into the shimmering image of the owner of the staff.
そして、虹は揺れながら混ざりあい、杖の元の持ち主の幻像を宙に結んだ。
“Well, Ladonna,” Par-Salian asked quietly, after a moment. “Do we go ahead?”
「どうだね、ラドンナ」パー=サリアンが静かに尋ねた。「協力してくれるかね?」
***
一度竜槍ファンの皆さんと語り合ってみたい、聞いてみたいことが一つあります(本当は一つどころではすまないのですが)。
「作中の登場人物の誰かになれるとしたら、誰を選ぶ?」
私はやはり女性の魔法使いになりたいものですが、数が少ないせいもあり、これまでこれという理想がいませんでした。イエンナもいいけど恋人の趣味が合わないな(笑)。『秘史』のイオランゼも素敵ですが、アリアカスの愛人なんてさらにご免こうむりますし。だがしかし、ここで再発見したラドンナ様!いい!成熟した知性と美貌、空前の脅威に直面しながらも皮肉を言える度胸!かっこいい!それにパー=サリアンなら相手にとって不足なし!
竜の卵の探索の際、ギルサナスとシルヴァラを助けたのも彼女でしたっけ(曖昧)なりかわるよりも、むしろ弟子にしてください。毎朝の髪結い、得意ですから私。
パー・サリアンとラドンナになりたいです。世界の危機には正面から飛び込むのも華やかだけど、裏から立ち向かうのも魅力的。魔法の技を極めた”研究者”的ポジションであるのもポイントです。
返信削除でも、弟子になるなら断然ユスタリウスを師匠に選びます。
弟子入りするならユスタリウスですか。バランス感覚に秀で、人を見る目もあるかれの元でしたら、確かに有意義な研究生活が送れそうです。娘に対するスタンスもいいですね。言いたいことはあるけれども、あえて好きにさせている。父親としても好人物のようです。
返信削除はて、大審問を経た魔法使いで、実子がいるのってユスタリウスとパリンくらいでしたっけねえ。