“In many ways, she begins a journey much like your own years ago--seeking self-knowledge. No, you are right, she doesn’t know this herself yet.”
伝説1巻p67
「いろいろな意味で、彼女は旅立とうとしています。ちょうど数年前のあなたのように――自己認識を求めて。いや、あなたの思われるとおり、彼女は自分ではまだこのことに気づいていません」
Thouh he had come to a strong belief in the true gods--more through Laurana’s love and faith in them than anything else--he felt uncomfortable trusting his life to them, and he grew impatient with those Elistan who, it seemed, placed too great a burden upon the gods.
かれはまことの神々に強い信仰を抱くようになっていた――それには、何にもましてローラナの愛情あふれる信仰心が影響していた――が、自分の人生を神々に委ねてしまうのには抵抗があり、そして、エリスタンのように神々にあまりにも多くの荷を負わせすぎているように見える人々に対しては、いらだちを覚えてしまうのだった。
Let man be responsible for himself for a change, Tanis thought irritably.
少しは自分で責任を負ったらいいじゃないか、とタニスはいらだたしく考えた。
A murmur--both reverent and respectful--went through the crowd.
“A holy cleric!”
群衆の中にさざめき――尊敬と崇拝の念の――が走った。
「聖なる僧侶さまだ」
“I am honored,”
“to meet two whose deeds of courage shine as an example to us all.”
「お目にかかれて光栄に思います」
「お二方の勇気ある行動は、わたくしどもすべてにとって輝かしい模範となっております」
Tika flushed in pleased embarrassment. Riverwind’s stern face did not change expression, but Tanis saw how much the cleric’s praise meant to the deeply religious Plainsman. As for the crowd, they cheered boisterously at this honor to their own and kept on cheering.
ティカは面映ゆさで頬を染めた。リヴァーウィンドのいかめしい顔は表情を変えなかったが、タニスには、この敬虔な平原人にとって聖女である彼女からの褒め言葉がどれほど大きな意味をもつか察せられた。群衆はといえば、かれらは自分たちの英雄に対するこの名誉に大喝采し、それは止むことがなかった。
***
ここ、釈然としない人多いんではないですかね。そもそも、困難な旅路の果てにミシャカルの啓示を受け、青水晶の杖をゴールドムーンの許に持ち帰ったのはリヴァーウィンド。そしてタニスたちの助力を得た二人の犠牲(二人ともザク・ツァロスで一度死んだも同然でした)の成果が<円盤>獲得なわけで。エリスタンを癒し希望を取り戻させたのはゴールドムーンで、クリサニアはそれら全てが片付いてからエリスタンの弟子になって、本人もここは自覚しているように、まだ何も成し遂げてはいない身なのです。
我々の感覚からいったら、神々への貢献度は
ゴールドムーン&リヴァーウィンド>竜槍の英雄たち>エリスタン>>クリサニア
てところでしょう。それなのに、ぽっと出の聖女クリサニアに賞賛されてまんざらでないティカとリヴァーウィンド、喝采する人々。なかなか想像しがたい光景です。
これが、原作が書かれたアメリカと日本の宗教観の違いなんでしょうか。
何百年間とキリスト教の、そのうちの大部分はローマカトリック教会の精神的支配下にあった民族の子孫にとって、体系づけられた教会の高位聖職者や、認定された聖人、聖女さまはかほどにありがたい存在なのでしょう。信じる信じない、信仰の問題ではなく、生活習慣、意識の違いなのかもしれません。日本人のクリスチャンであってさえ(かつては自分もそうだと思っていた時期がありました)、この違和感はわかってもらえる、感じてもらえるんではないかと思います。
信仰と常識と道徳観念が一緒くたになっている(らしい)一部のアメリカ人、学校で進化論を教えることを法律で禁じようとする人たちの見ている世界を、また少し覗き見た気がします。「信仰なしにどうして道徳的でいられるのか」と疑問を発する人たちが私は怖しい。もし神の存在が否定されたら、彼らの道徳もまた瓦解するのでしょうか?
いやー毎度脱線甚だしい。さあさくさく進みますよ。
It was a man, Tanis saw, a huge man, but, as he looked more closely, he saw it was a man whose giant girth had run to flab.
それは男だった。大男である。しかし、タニスがさらに目を凝らして見ると、それは巨大な胴回りをさらにだらしなくたるませた男だった。
“Tanish…my fri--“
“Name of the gods,”
「タニシュ……なつかし――」
「神々の名にかけて……」
Then--with a thud shook the Inn--Caramon Majere, Hero of the lance, passed out cold at Tanis’s feet.
そして――どうと床を揺らして――<竜槍の英雄>キャラモン・マジェーレがタニスの足元に昏倒した。
0 件のコメント:
コメントを投稿