This day, as above Afterwatch rising 28, Crysania of Tarinius arrived for her appointment with Raistlin Majere.
伝説1巻p12
<本日、上記のとおり“明の刻・昇二十八”、タリニウス家のクリサニアがレイストリン・マジェーレとの会談をはたすために訪れた>
And yet, cool and pristine and pure as was this private chamber of the historian, the room itself seemed only to mirror the cold, pristine, pure beauty of the woman who sat, her hands folded in her lap, waiting,
が、年代史家のこの俗塵を離れた孤高の部屋自体もかすむほど、冷然として世俗を離れた至純の美しさをもっているのが両手を膝の上に重ねて待っているこの女性だった。
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「部屋自体もかすむほど」=” the room itself seemed only to mirror”。鏡像よりもさらにかすんでしまうのですね、聖女様の前では。
She sat in the straight, unconfortable, wooden chair, her clear, bright eyes fixed upon the red-stained fringes of the clouds above the mountains as if she were watching the sun set for possively the first--or last--time upon Krynn.
彼女は、硬い木の椅子に身じろぎもせずすわったまま、澄んだ明るい瞳を、山脈上に浮かぶ茜に染まった雲の端に据えていた。まるで、クリンの世界が迎える最初の――あるいは最後の――日没を見つめているようだった。
By placing his hand beneath them, he could cease the flow of the drops, but time would go on.
手を当てれば水滴の落下はとめられるが、水滴をとめても時の流れはとまることがない。
Her hair was black, blue-black, black as the water of a calm sea at night.
彼女の髪は黒かった。青味を帯びるほどの見事な黒髪は、凪の夜の海を思わせる。
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日本語の色を表す言葉の多彩さには、調べるたびに驚かされます。青どころか、藍色のバリエーションだけで十数種類あるんでしたか。その分、他の言語では、色あいを表現するための言い回しの工夫に感心させられます。
戦記3巻のこのシーンも好きです。
Caramon cried out in horror as he saw Raistlin’s robes, the red robes that marked his neutrality in the world, begin to deepen to crimson, then darken to a blood red, and then darken more--to black.
キャラモンが恐怖の叫びをあげた。レイストリンのローブが、世に中立を示す赤いローブが深紅に染まり、そして血のような暗褐色に変わり、さらに濃さを増していった――漆黒へと。
脱線ですが、ラテン語では赤系統の色を表す語は”ruber”しか見つかりませんでした。赤も紅も緋もこれ一つなんですね。しかしファイナルファンタジー零式の文脈においては” Bellatóres Rúbri”と言ったら「朱の戦士たち」!(脱線終わり)
Crysania searched the man’s ageless face in true perplexity. Then--suddenly understanding--she smiled, a cold smile that brought no more life to to her face than the moonlight upon snow.
クリサニアは当惑して、年代史家の不老の顔つきを探った。そして――不意に悟って――微笑した。雪に差す月光のように、冷たく硬質の微笑。ほほえんでも彼女の顔に暖かみは差さなかった。
“You don’t believe he will come, do you?”
「かれが来るとは信じていらっしゃらないのですね?」
“Tanis Half-Elven triumpfed with the help of Raistlin Majere,” Astinus said imperturbably. “Or is that a part of the legend you choose to ignore?”
「ハーフ・エルフのタニスは、レイストリン・マジェーレの助力によって勝利をおさめたのだぞ」アスティヌスは動じずに言った。「それともあなたは、伝説のその部分は無視しようとしているのかな?」
“Look, Astinus,” she said softly. “He comes.”
「ご覧を、アスティヌスさま」悠然と彼女は言った。「かれが来ました」
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ここまで一分の隙も見せない、大理石の聖女クリサニア様。今後の展開を知りつつ精読していると、冷ややかであればあるほど期待に胸が熱くなります。あの狼狽ぶりやあの台詞、どう表現されてるのでしょう。
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