Tas tugged miserably at his collar and winced in sympathy for Caramon’s suffering.
伝説2巻p64
タッスルは惨めな面持ちで自分の首輪を引っ張り、キャラモンの痛みを感じ取ってやはり縮みあがった。
“I didn’t know he meant ‘on the block’! I thought he said ‘down the block.’ Like, we’re going to take a walk ‘down the block.’”
「『売りに出す』って言ってただなんて知らなかったんだ! ただ『出す』って言ったと思ったんだよ。ほら、街に『出し』てもらえるってふうにね」
***
しょげるなタッスル。人気闘士キャラモンのマネージャーが務まるのは君だけだ。
“You’re right,” Caramon said, a gleam of life flickering in his dull eyes. The gleam became a flash, igniting a smoldering fire. “Raistlin,” he murmured. “He knows I’m going to try and stop him. He’s done this!”
“I’m not so sure,”
「確かにそうだ」キャラモンのどんよりした目にちらりと生気の光が閃いた。その閃きが火つけとなって、炎がくすぶりながら燃え上がった。「レイストリンか」キャラモンはつぶやいた。「あいつはおれが止めようとすると承知している。これはあいつの仕業なのか!」
「そうかなあ」
“What makes you think Raistlin’s not behind this?”
「この件の裏にいるのはレイストリンじゃないと考える根拠は何なんだ?」
“Raistlin must have been awfully busy, what with traveling back here and all. Why, it took Par-Salian days to cast that time-traveling spell and he’s a really powerful mage.”
「レイストリンはきっとひどく忙しかったと思うんだ。ここへ戻ったり、何やかやでさ。だってね、本当に強大な力を持つ魔法使いのパー-サリアンでも、この時間遡行の呪文をかけるのに何日も必要としてたんだよ」
“So it must have taken a lot of Raistlin’s energy. How could he have possively done that and done this to us at the same time?”
「だからレイストリンだってずいぶんエネルギーを使ったはずなんだ。同時にぼくらにこんなことをするなんて、できると思う?」
“If he didn’t, who did?”
「やつでないとしたら、誰なんだ?」
“What about--Fistandantilus?” Tas whispered dramatically.
「フィスタンダンティラス――でどうかな?」芝居がかった言い方で、タッスルはささやいた。
“Look, I’ve got this all figured out. He can’t murder his own pupil’s brother. Especially if Raistlin’s brought you back here for a reason.”
「いい、これは確かだと思うけど、かれには自分の弟子の兄を殺すことができないんだ。レイストリンがなんらかの理由でキャラモンをここへ連れてきたんだからなおさらだ」
“Why, for all Fistandantilus knows, Raistlin may love you, deep down inside.”
Caramon’s face paled, and Tas immediately felt like biting off his tongue.
「きっとフィスタンダンティラスは知ってるんだよ、レイストリンが心の奥底ではキャラモンを愛してるってことをさ」キャラモンの顔が蒼白になった。とたんにタッスルはしまったと思った。
Caramon suddenly saw everything quite clearly. Tasslehoff’s right! We’re being set up. Fistandantilus will do away with me somehow and then explain my death to Raistlin as an accident.
突然、何もかもがきわめてはっきりと見えるようになった。タッスルホッフの言ったとおりだ! おれたちは泳がされているのだ。フィスタンダンティラスは何かでおれを殺し、それからレイストリンにおれが死んだのは事故だったのだと説明するつもりなのだ。
“All this means is that I’ve got to get to this Fistandantilus before he gets to me,” he said to himself softly.
「つまるところ、フィスタンダンティラスがおれを手にかける前にやつを殺らねばならんということだ」かれは静かに自分に言いきかせた。
This man needed none. His power sprang from within--so great, it had spanned the centuries, spanned even planes of existence. It could be felt, it shimmered around him like the heat from the smith’s furnace.
だが、この男は何も必要としてはいなかった。内側からパワーが噴き出している――あまりにも強大なそれは何百年にもわたり、さまざまな異界にまで及んでいた。それは感じとることもできた。鍛冶屋の炉床から発散される熱のように男のまわりでゆらゆらと輝いているのだ。
“Who’s that?”
“Don’t you know?”
“I’m from out of town,”
“Why, that’s the Dark One--Fistandantilus. You’ve heard of him, I suppose?”
“Yes,” Tas said, glancing at Caramon as much as to say I told you so! “We’ve heard of him.”
「あれ、誰?」
「知らないのか?」
「ぼく、市外から来たんだよ」
「いいか、ありゃ<黒きお方>だ――フィスタンダンティラスだよ。聞いたことぐらいはあるだろう?」
「うん」タッスルは『ほら、言ったとおりでしょ』と言わんばかりにキャラモンのほうを見た。「噂には聞いてるよ」
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