“My death lies in there,” he murmured to himself, licking his dry lips. “But what difference should that make? I’ve faced death before, a hundred times!”
伝説6巻p42
「この中で死が待っている」乾いた唇をなめ、キャラモンはひとりごとをつぶやいた。「だが、どれほどのちがいがあるというのだ? 死に直面したことはこれまでにもあった。何百回となくな!」
“I have walked in darker places than this.” He kept talking, defiantly. “I have walked Krynn when it was dying. I have seen the end of the world.
「ここよりもずっと暗いところを歩いたこともあるんだ」きっぱりした口調でしゃべりつづける。「ウェイレスの森を歩いたこともある。死につつあるクリンを歩いたこともあるぞ。世界の終わりも見たんだ」
There was life within that darkness! Horrible, unholy life that wasn’t life at all but living death....
この闇の中には生命がある! おぞましい邪悪なる生。そもそも生命などではなく生ける死とでもいえるものが……。
Horror overwhelmed Caramon. he he had only to turn and run and he would escape....”but, no,” he gasped in the hissing, smothering darkness, “I must stop Raistlin! I must...go...on.”
キャラモンは恐怖に打ち負かされた。うしろを向いて走るのだ。逃げだすのだ……。「いや、だめだ」ささやきかけてくる息詰まる闇の中で、キャラモンはあえいだ。「おれはレイストリンを止めねばならない! おれは……進まねば……ならないんだ」
For the first time in his life, Caramon reached far down within himself and found the same indomitable will that had led his twin to overcome frailty and pain and even death itself to achieve his goal.
生まれてはじめて、キャラモンは己れの奥底に手をのばし、双子の片割れが目的を達成するために脆弱さや苦痛、さらには死さえもに打ち勝つのに使ったのと同じ、不屈の闘志を見つけた。
***
キティアラ姉さんもまた共有しているこの闘志。ならばお母さんにもあってよかったはずだと思うのですが、なぜ彼女は発揮できなかったのでしょうね。
“That was the bravest thing I have seen any man do,” Tanis said solemnly, leaning back to rest upon his heels as he stared at Caramon. “The bravest...and the stupidest.”
「おれが目にした中でもっとも勇敢な行為だったぞ」タニスは厳粛に言い、中腰の姿勢に戻って、キャラモンをじっと見つめた。「もっとも勇敢な……そしてもっとも愚かしい行為だ」
“well, you know me.”
“I used to,”
His gaze took in the big man’s splendid physique, his bronze skin, his expression of quiet, firm resolve.
「まあ、おれのことはよく知っているだろう」
「以前はな」
その視線は大男のすばらしい体格、赤銅色の肌、静かだがかたい決意を秘めた表情に注がれる。
“I’ve lived years, Tanis,”
「おれのほうはあれから何年もたってるんだ、タニス」
“Tanis, I have to reach the Tower!” His hands clenched into fists. “I can’t explain, but I’ve seen the future, Tanis! I must go into the Portal and stop Raistlin. I’m the only one who can!”
「タニス、おれは<塔>にたどりつかなければならないんだ!」両手をぐっと握ってこぶしをつくる。「くわしいことは言えないが、おれは未来を見たんだ、タニス! <扉>に入ってレイストリンを止めなければならない。それができるのはおれだけなんだ!」
“”I’ll bet a person could fly that citadel to the Tower,” Tas said, staring at it with interest.
「きっとあの城塞を<塔>まで飛ばすことができるよ」興味津々という顔で浮揚城塞を見つめながら、タッスルが言った。
“The magical device!” Caramon cried in excitement, fishing it out of the inner pocket of the shirt he wore beneath his armor. “This will take us there!”
「魔法の装置だ!」キャラモンが興奮して叫び、鎧の下に着ているシャツの内ポケットから装置を取り出した。「これであそこに行ける!」
***
そんなところに持ってたんですか。ところで、この時タニスの手に戻っている魔法の腕輪をタッスルが隠した「ぜったい見つからないとこ」とはどこでしょう?私の考えは「タニス自身の荷物の中」です。タニスが確認したのは手首に腕輪がはまっていないことだけで、タッスルが腕輪を持っているところは見ていませんからね。
“Take me with you! maybe the device will work with three people.”
「ぼくを連れてってよ! もしかしたらその装置、三人でも大丈夫かもしれない」
“Tas”--Tanis assumed his sternest air as Caramon moved to stand beside him once more--“promise me that you will find somewhere safe and stay there and that you’ll keep out of mischief! Do you promise?”
「タッスル」――キャラモンが横にきて立ったとき、タニスはできるだけ厳格な雰囲気で言った――「どこか安全な場所を見つけて、そこでじっとしていると約束してくれ。決していたずらはしないとな! 約束できるか?」
“Of course, I promise, Tanis,” he said with expression of such sincere innocence that the half-elf groaned.
「もちろんだよ、約束するよ、タニス」無邪気そのものの顔つきに、ハーフ・エルフは唸り声をあげたくなった。
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