“If we can get close enough,” he shouted to Caramon above the rush of the wind in his ears, “we can drop down on that walkway that circles around the top.”
伝説6巻p103
「じゅうぶん近づいたら」耳もとでうなる激しい風の音に負けじと、キャラモンに向かって声をはりあげる。「てっぺんを取り巻いているあの通路に降りられるだろう」
“The Death Walk,” Caramon returned grimly.
“What?”
「<死の道>だ」キャラモンはむっつりと言い返した。
「なんだって?」
“That’s where the evil mage stood when he called down the curse upon the Tower. So Raistlin told me. That’s where he jumped from.”
「あそこに邪悪な魔法使いが立って、<塔>に呪いがくだされるよう祈ったんだ。そうレイストリンが言っていた。その魔法使いはあそこから飛んだんだ」
***
「呪いがくだされるよう祈る」=”call down the curse”
祈るというと“pray”しか思い浮かばず違和感しきりだったんですが、なるほどこういう祈り方もあるのですね。
“Nice, cheerful place,” Tanis muttered into his beard, staring at it grimly.
「すばらしく愉快な場所だな」タニスは顎髭の中で中でつぶやき、いかめしい顔でそれを見つめた。
“We’ve come this far,” Caramon said softly. “The gods are with us.”
「ここまでちゃんときたんだ」キャラモンは静かに言った。「神々はおれたちについててくださる」
Tanis blinked, wondering if he’d heard right. “That doesn’t sound like the old jovial Caramon,” he said with a grin.
タニスは目をぱちくりさせ、いま聞いたことは耳の迷いではないかと考えた。「昔の陽気なキャラモンの言葉とは思えんな」にやりとする。
“That Caramon’s dead, Tanis,” Caramon replied flatly, his eyes on the approaching Tower.
「あのキャラモンは死んだんだよ、タニス」近づいてくる<塔>にじっと目を注ぎながら、キャラモンは抑揚のない声で答えた。
Tanis’s grin softened to a sigh. “I’m sorry,” was all he could think of to say, putting a clumsy hand on Caramon’s shoulder.
タニスの笑いが引いてため息になった。「すまん」言えたのはそれだけだった。かれはキャラモンの肩にぎこちなく手を置いた。
Caramon looked at him, his eyes bright and clear. “No, Tanis,” he said. “Par-Salian told me, when he sent me back in time, that I was going back to ‘save a soul. Nothing more. Nothing less.’”
キャラモンはタニスを見た。その目は明るく、澄んでいる。「いや、タニス。おれを過去に送りだすとき、パー=サリアンが言ったんだ。おれは魂を救うための旅をする、とな。それ以上でもそれ以下でもない」
Caramon smiled sadly. “I thought he meant Raistlin’s soul. I see now he didn’t. he meant my own.”
キャラモンは悲しげな笑みを浮かべた。「おれは、パー〜サリアンが言っていたのはレイストリンの魂のことだと思っていた。だが、いまはちがうことがわかる。パー=サリアンが言っていたのは、おれの魂のことだったんだ」
“Name of the Abyss!” he swore, his breath catching in his throat.
「<奈落>の名にかけて!」はっと息をのんで、毒づく。
Hurriedly, Caramon got to his feet. “Yeah,” he said warily. “I’ve run into these before.”
キャラモンは急いで立ちあがった。「ああ」用心した声で言う。「おれは前にもこいつらに出くわしたことがあるぞ」
Hurriedly Caramon stepped in front of Tanis, facing the eyes. “I am Caramon Majere, brother of Fistandantilus,” he said softly. “You know me. You have seen me before, in times long past.”
キャラモンは急いでタニスの前に立ちはだかり、目と向きあった。「おれはキャラモン・マジェーレ、フィスタンダンティラスの兄だ」静かに言う。「おれのことは知っているはずだ。前にもおれに会っているから。はるか遠い昔にな」
“I am a friend of your master’s, Dalamar,” he said, trying to keep his voice firm. “He gave me this bracelet.”
「おれはおまえたちのご主人ダラマールの友だちだ」きっぱりした声をだそうとつとめながら、タニスは言った。「この腕輪はダラマールにもらったものだ」
“Dalamar!” Caramon yelled, his voice booming and echoing through the chamber. “Dalamar! It is Caramon! Raistlin’s brother! I’ve got to get into Portal! I can stop him! Call off the guardians, Dalamar!”
「ダラマール!」キャラモンのどなり声が室内に響きわたり、こだました。「ダラマール! おれだ、キャラモンだ! レイストリンの兄だ! おれは<扉>に入らねばならん! おれならやつを阻むことができる! 番人どもを去らせてくれ、ダラマール!」
“Perhaps it’s too late,” Tanis said, staring at the pallid eyes, which stared back at them. “Maybe Kit got here first. Perhaps he’s dead....”
「もう手遅れかもしれん」じっとこちらを睨みかえす青白い目を睨みつけながら、タニスが言った。「キットが先にここについたのかもしれん。おそらくダラマールはもう死んで……」
“Then so are we,” Caramon said softly.
「なら、おれたちもそうなるな」静かに、キャラモンは言った。
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